おふらんすへの道

…それは長い長い道のり…

★序章

7月にダンナがオランダに行った時点では、8月末にフランスかイギリスか
いずれの国に行くか決まっていなかった。
しかし多分イギリスだろうということだった。
資料によると、フランスはばかばかしく要求書類が多く、
ビザもいるし、その発給も時間がかかる。
イギリスだと比較的楽に行けそうだ。
だいたい我が家はフランス語が全くしゃべれない。
イギリスになるといいねーと言っていた。
ところが7月末に一時帰国したダンナが
フランスに行くことになったと言うではないか。
その日から我が家の「おふらんすへの道」が始まったのだ。

★日本→フランス計画挫折

さらにフランスに行く日も当初の8月末から11月半ばに変わっていた。
予定の10月初頭出発を11月半ばにまで延ばしてでもフランスに直接行けば、
引越しが一回で済む。
出発予定を変えなければオランダに行き、もう一度フランスへ引越しをするまで。
私たちの「日本から直接フランスへ行く計画」もそこで頓挫する。
お子様たちがもう我慢の限界だったのだ。
とにかくパパに会いたがる。どこでもいいから、まず行くしかない。

★ビザ申請書類を送る

8月末、ダンナの労働ビザと家族のピザを取るための書類をダンナ会社に送る。
ダンナ会社で手配してくれるらしい。
送った書類は

必要数(本人) 必要数(家族) 備考
戸籍謄本 - 他にコピー1部。
全員が載っているもの。
証明写真 20 12 縦4.5×横3.5センチ。
白黒、カラーは問わず。
スピード写真は不可。
背景は白、グレーのみ。
裏面に英語で名前記入。
パスポートコピー 番号、有効期限がわかる
1ページ目のみ。
大学卒業証明書 3+3 - 和文3、英文3。
履歴書 1+1 - 和文1、英文1。


とにかく書類の数が多い。しかも金のかかるものが多い。
戸籍謄本だってけっこう高い。それなのにご丁寧に「原本」と指定してくる。
極めつけは写真。ネガはもらえたものの、一人6700円もした。
時間があればネガ代だけ払って安いところで現像したいところ。
急いでいたからしょうがないのだ。
しかし、これ全部ビザ申請に必要なんだろうか。

★フランス大使館との戦い

ビザについて調べているうちに怪しい情報に行き当たる。
受け取るのに大使館に出向くのだが、
果たして本人が行かなくてはいけないのだろうか?
パスポートはたとえ赤ちゃんでも本人が受け取らないとならない。
現にらんちゃんは生後1ヶ月たっていないのに
受け取りに行ったのだ。

さらに調べると、ビザを受け取る際に申請書を書くらしい。
それが大使館備え付けとなっている。
これは持ち出せるのか?あらかじめ書いておくことが可能なのか?

なぜこんなことで悩んでいるかと言えば、
このビザ、日本で受け取らなければならないからなのだ。
ダンナは短期滞在のため、オランダで住民登録をしていない。
だから一度日本に帰ってこなければならない。
もし要本人なら、家族5人で往復しなければならない。
それは避けたい。

そこでフランス大使館に電話する。
ビザセクションの電話を教えられる。
電話を回してくれない。しかしそんなことは序の口だった。
ビザセクションにかけてもかけてもつながらない。
ファックスを送れというテープの一点張り。
うちにはファックスがないというのに。
しかも受付時間は午後3〜7時だけだという。
しょうがないので次の日コンビニからファックスする。
さらにホームページも発見したのでメールもしてみる。
一週間待つ。
返事が来ない。
もう一度代表に電話する。
事情を説明するが、ビザセクションに電話しろの一点張り。
しかも受付時間が毎日違うという。
頭に来たので、
いくら電話してもつながらない、
ファックスしてもメールしても返事が来ない、
生後1ヶ月の赤ちゃんを連れて窓口に行くことはできない、
どうにかして電話を回せとねばる。
とうとう「副領事に回す」と言い始めた。
ここでびびると思ったんだろうか。
こっちは頭に血が昇っているので何でも来い状態。
待っている間「フランス語で出てきたらどうしよう」と
一瞬ひるむ。
しかし副領事は日本語も話せました。
そしてなんとビザセクションに電話を回してくれた。
やってみるもんだ。
そこで聞いたら、「本人が来る必要はない」と言う。
心配なのでファックスでも同様のやり取りをする。
相手の名前を確認し、いざというときの切り札にする。

それでも心配だった私は、とうとう「生後1ヶ月の赤ちゃん」を
連れてフランス大使館まで行った。
ビザ窓口で確認したら、本当に本人でなくていいと言う。
しかも申請書ももらえた。サインさえ本人がしてあればいいと言う。
これで多分大丈夫だ。多分。

★フランスへ荷物を送る

引越しの手配をする。10月初頭の出発に合わせ、
2ヶ月かかるという船便は直接フランスに送ることにした。
航空便だけオランダに送る。

★家探し

ダンナがフランスに行って探す。
といっても、自分の足で探しているわけではなく、
条件に合ったところをコーディネーターがみつくろって、
そこを見て回る。
いったん決まりかけたのだが、最終条件が折り合わず白紙に。
もう一度探し直す。

★家具購入

家具なしの家に決まったので、家具を買う。
購入先はあらかじめリストアップされた中から選ぶ。
我が家はサマルテーヌにした。
さらに当たり前ではあるが、各家具に予算の枠がある。
会社が買ってくれるからだ。
これにはまるものを探すのが至難の業。

フランス下見紀行

★予防接種証明書

ゆりちゃんの幼稚園入園にあたり、予防接種証明書なるものが
必要らしい。これはどうすれば手に入るのか?
こういうときのネット頼み。
フランスに行ったらすぐホームドクターを決め、
そこでcarnet de sante(健康手帳、フランスの制度です)に
転記した日本での予防接種情報に証明をもらえば
大丈夫ということ。
母子手帳の翻訳は必要なさそうだ。

★フランスに荷物が着く

11月半ばには船便がフランスに着くとの連絡が来る。
・Attestation de non-revente(非転売証明書)
・Declaration(税関への申告書)
・輸入通関配達申込書
・搬入仕訳表
を送り返すように言われる。
Attestation de non-reventeとは、持ち込む電化製品が
要は購入後6ヶ月未満の新品じゃないよという証明書。
それに該当する場合は関税を(それもけっこうな金額を)支払うらしい。
しかしメーカー名はともかく、購入「年月日」なんてわかるわけない。

★さらにフランス行きが延期

早くても11月末だと言う。引越し業者はやきもきしている。
倉庫保管料がかかるらしいのだが、そんなの知ったこっちゃない。
さらに弊害が。
こんなに延びると思わなかったので、
分厚いコートは全部フランスに送ってしまった。
11月も中旬になると、さすがに寒い。

毎週フランス出張

本当ならもうフランスにいるはずなので、会議の予定が毎週入っているダンナ。
しょうがなくオランダからフランスに通ってる。
おかげで私の誕生日もシンタさんが来る日もダンナ不在。
しかし思わぬ副産物も。
あんまり寒いからコートを買ってもらったんだよーん。

さらにさらにフランス行き延期

今度は早くて1月、遅ければ4月とも6月とも。
うーん、ゆりちゃんの幼稚園はどうなるのだー。
馨だって9月からはプレ幼稚園には入れるというのに。
2,3月には9月の新学期の入園申し込みだって言ってたぞ。
また空き待ちの途中入園になってしまうのか?

ビザは今(12月1日現在)

音沙汰なし。

年末年始はフランスへ

といっても引っ越せるわけではありません。
表向きは「新世紀のカウントダウンはシャンゼリゼで!」なのですが、
実際は船便の荷解きらしい…。
フランスでの冬休みにあわせて船便の搬入およびJSTVの設置。
だって紅白が見たいんだもん。
でも間に合うのかな。

年末年始フランスサバイバル紀行

ビザ取得へ前進!(1月24日)

なんとフランス政府から労働許可が下りたのだ!
人事から連絡があったらしいので本物らしい。
やっほー!!!

オランダ→フランスの赴任費用全額ゲット

当初はダンナの分しか出ない予定だったらしいが、
かけあって私と子供たちの分も出ることになった。
当たり前だ!
オランダでは家具つきの家、
フランスでは家具なしの家、
それだけでもだいぶ差がある。
会社が家具の費用を出してくれたとはいえ、
買ってもらえるのは本当に生活必需品のみ。
実際に生活するには必要なものはたくさんある。

<買ってもらえたもの>

ベッド(5)
クロゼット(5)
ダイニングセット
テレビボード
サイドボード
洗濯機
乾燥機
テレビ
ソファ(大、小各1)
センターテーブル
※ベッドサイドテーブル(5)
※照明(10)
※電子レンジ
※デスク&チェア(3)…なぜ3なのか疑問

※はこれから買うもの
我が家は家具なしではあるものの、
台所には全てついていたので冷蔵庫などは買わなかった
また買ってもらえるものでもどう考えても使わないものは
今のところ買っていない

本棚は自費です。
うちはそんなに本が多いとは思わないけれど、
本棚くらい買ってくれてもいいのにな。

急展開!フランス行き決定!!(1月30日)

ダンナが帰ってきて「フランスに行く日が決まったよ」と言う。
まるで期待していない私は「ふーん、6月?」「ちがうよ」
「じゃあ4月?」「ちがうよ」
「じゃあ3月なの?」
「2月12日」
来週じゃん!
社内ではそういう話が前からあったらしいが、
私の耳まで伝わってこなかった。
引越しは8日にもう予約したとか。
2月はらんちゃんの予防接種や私の歯医者など、
実はけっこう予定が入っていたのだが、
全てキャンセル。
予防接種だけは済ませていきたいので、
予約を変えてもらった。

フランス行きが予想外に早まったので、
とりあえずフランスに引っ越してからビザを取りに帰ることにした。
オランダにいる間に取りに帰るのなら
ダンナ一人に行かせようと思っていたが、
引っ越して間もないフランスで一人(と子供たち)で
10日間も過ごすなんて不可能に近い。
近所のスーパーの場所すらわからないので、
餓死してしまう。
一緒に日本に帰ろうかな。

ダンナはビザ受け取りの最終確認を
フランス大使館にあててメールした。
ちゃんと返事が返ってくるのか?
一日待って返事が返ってこなかったら
今度は英語でメールすると言っている。
そんなすぐ返事が来るわけないじゃん!
相手はおふらんすだぞ。
てっきりダンナはフランス流が身についていると思っていたのに、
この期に及んでそんなことを言うとは甘い。
「ビザを申請してから3日くらいで受け取れないかなあ」
なんてことまで言っている。
…だからおふらんすなんだってば。

怒涛の引越し(2月8日)

引越しの荷造りは全て業者がやると言うので、
特にやることもなく、腑抜けたように毎日過ごしていた。
インターネットで知り合ったオランダ在住の日本人友達と
最初で最後のオフ会をしたり、
らんちゃんの検診&予防接種(6日)に行ったり…。
ところが今まで予防接種の注射をしても熱が出なかったのに、
今回に限って熱が出た!
引越しの前日だというのに、一日中ぐずるらんちゃんの抱っこ。
かろうじておもちゃだけは一箇所にまとめたものの、
あとは野となれ山となれ。

引越し当日はダンナは会社の引越しで出社、
うちにはインターネット友達の一人Mさんが
子守りに来てくれた。
家は社宅なので、家具はほとんど置いていく。
荷物が少なくて楽かと思いきや、
どれを持っていってどれを置いていくか指示しなければならない。
おまけに一度言ったのに何度も聞かれる。
「さっき言ったじゃーん」と喉下まで出かかる。
荷造りは午前中で終わる。

夜は行きつけの中華でラストディナー。
お店からおせんべつに子供たちにピカチュウのぬいぐるみまでもらう。
いつも迷惑かけていたのに申し訳ない。
いい気分のままホテルに向かう。
出発の日までホテル暮らしだ。

とここまではいかにもオランダ最後の日々を優雅に過ごしたように
見えたのだが、そうはいかなかった。

<その1:ホテルのチェックイン>

ノボテルアムステルダムに泊まったのだが、
チェックインで「どうしてファミリーなのに一部屋に泊まらないのか」と
けちがついたらしい。
しかしダンナが予約したとき、5人と言ったら
2部屋にしないとダメだと言われたと抵抗した。
結局ホテルが逃げてダンナの言い分が通ったのだが、
2部屋に分かれて寝るのもばからしいので、一部屋は使わずにいた。
そうしたらなんとその空き部屋のほうをまた貸ししたんですよ!ノボテルは!!
我が家はその空き部屋のほうのカギも持っていたというのに、
もし何か起こったらどうするというのでしょう。
料金はもちろん一部屋分しか取られませんでしたが。

<その2:ごみ>

引越し前後で出たごみを処分し切れなかったのだ。
ダンナとそれでももめる。
でもあの小さいごみ箱にどうやって捨てろと言うのか。
しょうがないので夜ダンナが家に戻ってごみをごみ箱に捨て、
ごみ出しを隣家にお願いする。

さようなら、オランダ(2月10日)

ホテルをチェックアウト後、タクシーでスキポールに向かう。
飛行機嫌いのゆりちゃんには飛行機に乗ることは内緒。
しかし空港が近づき、KLMの「王様のかぶり」飛行機が
見えてくると、さすがの彼女もうすうす気づく。
「飛行機に乗るの?ヤダーーー!!!」
とタクシーを降りない。
なだめすかしてごまかして連れて行く。

初めて乗るエールフランスの飛行機、
離陸とともにオランダの広い大地が遠ざかっていく。
さようなら、オランダ。ありがとう。




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