年末年始フランスサバイバル紀行

12月21日〜1月7日
 

「クリスマスと大晦日をフランスで過ごす」
なんとうらやましい話でしょう。
と以前の私なら思っていたでしょうが、
これが、これからフランスに引っ越す全くフランス語のできない家族の場合、話は別です。
まさしく「サバイバル」なのだ。

引越しはいずこも大変

本来ならとっくにフランス生活が始まっているはずだったので、
その予定にあわせて日本から送った船便もとっくに届いているし、
新居に入れる大型家具も買っちまった。
いつまでも保留にしておくわけにいかないので、
この滞在のために搬入、というか、搬入のために滞在した、と言ったほうが近いが、
いずれにしても新居で住めるようにすることがいろいろあった。

21日夜中にフランスに着いたのだが、
ダンナはなんと22日にガスと水道の開栓、船便搬入(ダンボール74個!)、
サマリテーヌ(デパートの名前)で買った大型家具の搬入と、
全ての用事を集中させていた。
着いたのは夜中の3時。
最初の予約は朝10時だという。
いくら新居から近いホテルに泊まったとはいえ、大丈夫なのか?

22日、思った通り寝坊したダンナは、朝食もそこそこにすっ飛んでいった。
残された私たちは「ホテルの周りでも散歩すれば?」と言われていたのだが、
あろうことか1フランも置いていかなかったので、
文無しで外出するのもはばかられたのでずっとホテルの部屋にいた。
それがあとでこんなに役立つとは…。

昼頃ダンナから電話。
水道屋は来たけど「10時に来るはずのガス屋が来ないと言うのだ。
船便は予定通り搬入。
引越し業者の携帯で電話していると言う。
会社がフランスで無事暮らし始められるようにと、
サポート会社をつけてくれているので、
そちらの担当者に連絡してどうにかしてくれと言う。
家には電話がまだついていないので、ダンナには連絡しようがない。
連絡は全てホテルにいる私に集中させると言う。

午後は「電話連絡係」に終始した。
サポート会社の担当者二人に連絡するも、
Nの携帯は留守電。
英語で携帯の留守電に入れるなんて大丈夫かよーと思いつつメッセージを残す。
もう一人Sはつかまったものの、
ガス屋の予約を取ったのはNらしい。
Sは「5時まで待って来なかったら連絡して」と言う。
ガス屋は行くから大丈夫!と言っているらしいが、
だったら10時に行くなんて言うな!と言いたかった。

結局5時半に来たらしい。
隣家のおじさんが英語がしゃべれるので、彼を動員して
通訳してもらうなどひと騒動だったらしい。
この冬の寒空の下、暖房がつかなければ
路頭に迷うことになっていたのだから本当に心配した。
船便の中にパネルヒーターがあったので、
それで暖を取っていたとか。
トランスを使わないと使えないような代物、
送らなくてもよかったかなと思っていたが、
思わぬところで役立つものだ。

ダンナはひどく疲れて帰ってきた。
おまけにサマリテーヌは来なかったと言う。
ベッドとダイニングセットは搬入済みなので、
来るはずだったタンスなんかはなくてもどうにかなるけど。

そうしたらクリスマスあけの26日、突然玄関のベルが鳴る。
「ボンジュール」と出ると「サマリテーヌ!」と一言。
いきなり来たぞー!心の準備ができていない。
約束の日に来られなかったことを後ろめたく感じたのか、
休み明けに来るなんてなかなかやるじゃないか。
でも連絡の一本くらい欲しいものだが。

日本の放送が見られるJSTVというのを設置した。
29日の午後2時の予約だが、
オランダを出る前にフランスの設置業者と電話で話したため、
いささかこころもとない。
でもちゃんと来た!しかも英語ができるお兄ちゃんだ!
結局二日仕事になったけど、ちゃんと設置してくれた。

フランス語手強し

11月の下見から全く進んでいないフランス語の実力。
でもあの時は全くの観光、しかし今回は短期といえども生活だ。
それをいやと言うほど思い知らされた。

ダンナは水道、ガスの開栓ですでに洗礼を受けていたらしい。
しかし私はまだ楽観していた。「ふふん、どうにかなるよ」
そのお気楽気分をいっぺんに吹き飛ばしてくれる事件が続発。

<その1:サマリテーヌ事件>

大型家具の搬入に来た彼ら、フランス語しかしゃべれない。
「〜〜〜」と言っているが、???。
トラックの中を見ても組み立て家具なので、中身を確認できず。
わからないまま寝室に入れてもらうことに。
あとで辞書をひいたら「タンスはどこに置くの?」と言っているらしいことが判明。
タンス=クロゼットだと信じていた私にはわかるわけがない。
ちなみに「ラルモワール」と言う。

<その2:押し売り植木屋事件>

JSTV設置の日、2時の予約なのに1時ごろ玄関のベルが鳴る。
「〜〜〜」と言ってるので、「JSTV?」と聞くと「ウィ」。
これにだまされて開けてしまった。
またまたフランス語しか話せないおじさん。
庭に回って木の枝を切ると言っている。
JSTVのアンテナを見せて「これなんだけど」と日本語で言うが、
彼は枝を切るの一点張り。
頭からJSTVだと信じていたので、
「アンテナをつけるのに、木の枝がじゃまだから切ろうと言っているんだ!」と思い込む。
しかも切るのに1200フランかかると言う。
ダンナは懐疑的だったが、現金の持ち合わせがないので下ろしに行く。
枝を切ると次はアンテナを取り付けにかかったので、
「ほ〜ら、やっぱりJSTVじゃん!」と思っていたが、
デコーダーが要らないと言い出したので、さすがにおかしいと思い始めた。
そこでフランスの窓口の人に電話して確かめてみると、
「デコーダーは要りますよー。ちょっとその人と替わって下さい」と言うので、
直接話をしてもらったら、なんと全く関係ない人と判明。
「ただの植木屋さんですよー。アンテナをつけてくれと頼まれたからつけるんだって
言ってますよ!取り付けは別の人が行くから待っててください」
あとでダンナは「車に木の枝なんか載せてるからおかしいと思った」と言っていたが、
だったら最初っからそう言ってくれよ。

<その3:マクドナルド事件>

外食しようにも子連れだしお腹がすくのは急なので、
近所のマクドナルドに通うことが多かった。
マクドナルドだけはダンナと交代で買いに行くことになっていた。
お互い買いに行きたくなかったのだ。
でも日本とほとんどメニューはいっしょだし、大丈夫だろうとたかをくくっていた。
しかし!セットで買うと「飲み物は何にしますか?」「サイズは?」などなど
意外とやることが多かったのだ。
まず何を聞かれているのか分からない。
しかもメニューが日本と若干違う。
お子様は炭酸が飲めないと言うのに、コーラを4個も買ってしまったこともあるし、
コーヒーを買いたかったのに頼めなかったこともあった。
オレンジジュースを頼んだらファンタが来て、炭酸嫌いのお子様からまたもやブーイング。
ダンナはよく頼んだはずの個数より多く買っていた。

フランス=大阪論

最初に言っておきますが、かなりくだらないです。

フランスといえば、なんだか敷居が高い、
近寄りがたいイメージがあったのだが、
「なんだ、パリも普通の町じゃん」っていうのが一番の感想。
ヨーロッパの整然としたイメージからはずいぶんとかけ離れているような気がする。
雑多な感じは東京にも似ている。
パリだけがそうなのか?地方に行けばいかにもヨーロッパ!というところもあると聞くけど…。

「フランスって大阪に似てるよね」というのが我が家のもっぱらの話題。
我が家はダンナも私も東京生まれ東京育ちで、
大阪は旅行で一度行ったきり。
だから正確には「大阪に抱いていたイメージとフランスって似てるよね」なんですが。

何が似てるのか?

(1)自分たちの言葉をかたくなに守る

以前よりは英語が通じるようになったとはいうものの、
相変わらずフランス語オンリーのところは多い。
大阪弁を話す人はどこでも大阪弁を貫き通す(人が少なくとも知り合いには多い)。

(2)リエゾン

フランス語が「〜〜〜」と聞こえるのはリエゾンのせいだと思うのだが、
ダンナが言うには「「何やってんねん」もリエゾンだ」。
そう言われればそんな気もするが…?
でも「リエゾン」以外にも何かあったよね?
(フランス語の知識なんてこんなもんです)

(3)交通マナー

フランスの交通マナーの悪さは聞きしに勝る。
いや、悪いんじゃなくてこれが普通なのだから、本人たちは罪悪感がないのだろうが。
とにかくぶつからなければよい。
さすがに赤信号無視はあまりない(がゼロでもない)が、車線無視は当たり前。
「日本だったらせいぜい3車線かな」と思われる道を5,6台並行して走っている。
さらに路駐は当たり前のフランス、二重駐車も当たり前。
東京ではほとんど見なかったけど、大阪ではよく見かけた。

(4)マクド

東京ではマクドナルドを略して「マック」と言いますが、大阪では「マクド」と言うらしい。
フランスマクドナルドではいかにもフランスらしくクロックムッシュがメニューにあるのですが、
その名前が「クロックマクド」。
ここにもフランス=大阪たる所以が…。

(5)食べ物がおいしい

いろいろくだらないことを書いてきたけれど、ここらで真面目に。
これもフランスと大阪の共通点だと思う。
フランスは何食べてもおいしい。大阪に行ったときも同じことを思った。

いずれも東京出身の我が家の偏見だと思います。
「大阪」を「関西」に置き換えていいのか?も
無知な私にはよくわからないので、とりあえず「大阪」としました。
本当のところはどうなんでしょう?

パリで迎えるクリスマス&大晦日

クリスマスど真ん中のパリを車で走る。
どこもかしこもイルミネーションでいっぱいだ。
「パリの灯が青白いのは原子力のせいだね」
夕方4時になるとシャンゼリゼ通りのイルミネーションがいっせいにつく。
「このイルミネーションのボタンを押しているのはシラクなんだよ」
エリゼ宮からシャンゼリゼの様子をうかがいながらつけているらしい。
彼も公務のかたわらこんな雑用をやっているのか…。
イルミネーションがつくとシャンゼリゼもガラッと雰囲気が変わります。
コンコルド広場から凱旋門へ通じる道、もう大渋滞。
やっとの思いで家にたどり着き、疲れた我が家のクリスマスディナーは…
そうめん。
でも久しぶりの日本食、とても好評でした。

大晦日は来客があったので、朝から大忙し。
「カウントダウンして21世紀になった瞬間、オベリスクが飛ぶらしいよ」
紅白を見たあと、皆でカウントダウンに繰り出す予定だったが、
長女の具合が思わしくなかったので、
ダンナと来客だけで出かける。
私はテレビでカウントダウンチェックをするが、
どこもやってない…。
朝帰りかと思っていたダンナは意外にも12時30分帰宅。
シャンゼリゼのど真ん中で人ごみで動けなくなったまま
新年を迎えたそうだ。

年が明けて2日、再びパリに出てみる。
「オベリスクが戻ってきてるよ」
コンコルド広場に鎮座するオベリスク、一体いつ帰ってきたのか?

★オルセー美術館&ディズニーランドパリ

年が明けてからはごろごろして過ごすことが多かった。
数少ない外出先はオルセー美術館とディズニーランドパリ。

<オルセー美術館>

セーヌ川沿いの駐車場に車をとめる。
おお、混んでいる!日本語表示がある!
日本からの観光客が多い証拠ですな。
館内ガイドも日本語がある。
ここでストップ。うちの二人乗りベビーカーでは入れないというのだ。
預けて貸出用のベビーカーを二つ借りる。
クロークが充実しており、コートも大きなかばんも預けられる。

館内はエスカレーターで移動できるが、基本的には階段。
子連れには少々きつい。
車椅子用のエレベーターがあることがわかり、後半はそれを利用。

木曜日は夜9時近くまで開いている。
たまたま行った日が木曜だったが、
絵はもちろん、彫刻もなんと家具もあるので、
じっくり見て回るとあっという間に時間がたってしまう。
有名な絵もてんこもり。
ルノアールやゴッホ、ゴーギャン、などなど
一度は教科書で見たことある絵がそこかしこにあります。
しかもそんな絵がたくさんあるので、
有名な絵だけが特別目立つところに掲げられているわけではなく、
他の絵といっしょにがさっと展示してあるんですね。
ヨーロッパってやっぱりすごい。
個人的にはミレーの「春」という絵が気に入りました。

<ディズニーランドパリ>



我が家から車で1時間くらい。
パリと言えどもパリじゃない。その証拠に寒い。
空いていると聞いていたのに、観光バスも多く、混んでいた。
定期券のような磁気つきのパスポートは
大人170フラン、子供140フラン。
日本の半額くらいか。
つくりはアナハイムのディズニーランドに似ていた。
トゥーンタウンはなし。
子連れはファンタジーランドに集中。
貸しベビーカーが座面の高い頑丈なもの。
それ一台にお子様を三人乗せているつわものもいた。
(注:我が家ではない)
乗ったのはイッツアスモールワールドとカリブの海賊。
園内を一周する汽車。
それだけです。
長女&ダンナはビッグサンダーマウンテン、
私一人でスペースマウンテンも乗りましたが。
昼のノエルのパレードは途中から見たので
キャラクターは見逃してしまう。

★フランスでの収穫

ショートブレッドをようやくゲットいたしました。
ラ・デファンス内のマークス&スペンサーにて。
見つけた日にちょっと多いかな?と思いつつ2箱買ったのですが、
あっという間に長男に取られてなくなり、
もう一度2箱買いました。
うれしかったです!(「ホームシック?」を参照のこと)


問題:赤字で書かれたもののうち、実話はどれでしょう?